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『弟の夫』1巻(田亀源五郎)感想

ゲイ・アート界の巨匠とも呼ばれている田亀源五郎さんの一般誌連載作品を読んだ。 私は彼の作品を何冊か読んでいて、その高い画力と魅力的な演出にすっかり心奪われていた。

  あらすじ

主人公・弥一は男手一つで娘・夏菜を育てている。

ある日、弥一の双子の弟とカナダで結婚したというカナダ人のマイクがやってきた。そのまま家に留まることになり、三人で暮らし始めることになる。

 

以下感想(ネタバレ注意)

  •  ゲイというものに対する知識がない弥一。当初はマイクにどう接すればいいのか戸惑うが、純粋な夏菜の態度に、自分の中に持っていた偏見について色々と気付かされて…という話。
  • 田亀源五郎さんの作品には大きな二つのテーマがよく見られて、ひとつはゲイであるということについて、もう一つは被虐性の解放なのだが、一般誌に掲載されたこの作品は、前者についての話である。
  • この作品に出てくる弥一は典型的な日本人というか、世間一般。そんな感じがする。
  • 夏菜がマイクに「どっちが夫でどっちが妻なの?」と尋ね、それに対し「どっちもハズバンドですよ」と返すシーン。それを見た弥一は、婚姻関係を男女の枠に当てはめて見ていた自分に気づくところとか、私もはっとした。
  • やはり演出が巧み。両親が死んでも、弟が死んでも泣けなかった弥一が、涙を流すシーンを直接描かないというのが好きだ。思わず私が涙ぐんでしまった。